LGBTQ洋書読書会とか

新設Cチーム企画主催者が、元々は「リバティおおさかを応援する!」というブログでやってましたが、引っ越ししまして、最近ではLGBTQの洋書読書会やその他の情報をごった煮状態で掲載していますv

アトランタ (WPATH)3日目セッションメモ(2011/9/25)

Plenary panel presentations: 
Transgender beyond disorder: Identity, community, and health. 

アイデンティティ 
私は1980年代中ごろからこれWPATHにかかわっていて、1970年ごろオペ済のMtFの人がカミングアウトしたことが強く印象に残っている。その後のHIVの問題が起こることによって接点をもたないでいたトランスコミュニティとHIV問題が連帯するようになった。サザンカンフォートやISの団体、GLMAともつながりをもってやってきた。CNNがLGBTのユースの問題を報道したこともあった。(エリクソンアイデンティティの定義)個人が確立することはそれとともに集団としての属性意識も重要だ。ジェンダーアイデンティティが個人的なものとして捉えられるようになったのは最近のことだ。1980年代、内分泌系の医者であるゴーレンがTSの個人がいることを知って、社会に受け入れられるように願っていた。性別は二分法ではない。最近の用語学的にはTSとTGをどう定義するか論争がある。(TS=女か男かはっきり自覚している、TG=あいまいさがある)TS、TGの分けにくさ。また、性別はスティグマ、健康、多領域性に影響されるものである。 

・VTR「2つの人生をもつ人」トランスのアンドレアの話 
13歳の頃叔父のスイカ売りの手伝いをしていたら、知らない客の男からセックスに誘われた。自分は女じゃなくて男だと言ったけれど男はちんこを見せてきた。4歳の頃から自分は女だと思ってきた。その客のことはトラウマ的体験だったが、その後自分の性別を振り返り検討していくうえで重要な体験だったと思う。43歳の今はどうなのか。黒人男性として生きるということは、社会の底辺で生きること。黒人女性として生きるということは、暴力に会い、白人女性からも蔑まれて生きていくということ。アイデンティティをどこに持つのか、社会的地位も影響する。30年間ぐらいは男性として生きてきたけれど女性とセックスするときは自分はレズビアンだと感じて、男性とセックスするときは異性愛者の女性として感じていて、今は自分をバイセクシャルのトランス女性だと思っている。
キング牧師の言葉「市民権について戦うひとになってください。~」 

●コミュニティ 
私は30年間結婚しており、妻とこどもがいます。サザンカンフォートに7年間通っています。サザンカンフォートは私の人生の大きな影響を与えました。サザンカンフォートは21年前、様々な分野で活躍する人たち、法律家などの人たちがはじめました。今年900人を超える参加者があつまりすばらしいです。また、ニーズが多くあることも初参加の人350人もいることもすばらしいです。サザンカンフォートのよいところは自分は孤独ではないことを感じられることです。大事なことは安心を感じられる場所を提供できることです。嫌がらせを受けたり、逮捕されたりしないことです。 
サザンカンフォートは完全に民間経営で参加費から成り立っています。昨晩もみんな踊り明かしたので参加の際は遊べる格好で来てください。また、著名な人が無償で参加してくれましたし、有名なメーカップアーティストも来てくれてとてもいいイベントになりました。スタンダードオブケア7版の改定についてもいち早く知らせてくれたのはとてもよかったです。 
私たちはお金がなくてこれに参加できない人たちのために奨学金を用意しています。お金や家族の問題で参加できない人をこうして呼ぶことは大事です。今回は130人に無償で参加できるように旅費なども含めて資金援助しました900人の参加者の中で、誰かの自殺を止められたとしたら有意義なことです。 
アトランタでは手術できません。トランス男性が手術を望みながら亡くなりました。そういう人にバス代を出してお金をだしてオペができるように支援するサービスも提供しています。FtMのパートナーの人たちをサポートする新しいプログラムも開始しています。 
こうしていろいろと紹介しましたが、生きづらさを感じているあらゆる人に手をさしのべたいと思っています。サザンカンフォートとWPATHがこのように共催できてよかった。これからも実際に会ってどんな課題に取り組んでいけるか話し合うことはいいことです。
共催の話の時にGLMAともという話がでて、なんで?と思ったけれどこうして実現できてよかった。メンタルヘルスの専門家たちに訴えたいことは、LGBTの家族の家族の苦しみについて、セックスセラピーなどそれぞれの専門セラピーがあるように、これについても体系化、制度化、資格化してほしいです。自分も何年もカウンセリングをうけていたので家族が崩壊しなくてもすむそういうセラピーが可能な専門家の育成と資格化を望みます。

●健康(元元元GLMA会長) 
トランスすることによって職を失って、1993年に開業した。以前、バンクーバーでアサンプしょんからアクセプタンス、推測から受容へという講演をしたのだが、スタンダードオブケア7版が改定されるところに立ち会えて感慨深く思う。「トランスの健康、医療、保健」「IDの性別変更、その役割」「トランスにかかわるための心構え」「医学部の教育課程におけるトランスジェンダーの…」「トランスの薬物使用について」「シリコン注射の…」「FtMのオペ後の満足感について」「トランスの生物学的研究」「トランスの健康専門学に出会う」などなど、これまでGLMAではたくさんのトランスに関する研究発表がされてきた。 
「DSM5におけるGIDの扱いについて」という中で重要な指摘がされた。それはどんな素晴らしい医療であっても、アクセスできなければ意味がないということだ。そして適切な診断、ケアが受けられることが重要だ。 
オペが必要なトランスのほとんどがオペによって満足を得ることができる。社会的ニーズとしてのマッチングがうまくいくことがトランジションのキーとなる。 
それらについて書かれた本が「larening with minds」である。オペは結果が重要である。性別違和は医学的コンディションであるということ。性別違和に対して治療する世界が理想的なのであって、性別違和を持つ人を治療することではない。 

Plenary symposium organized by GLMA: 
Transgender care in community-based settings. 
Chair:Jason Schneider, MD. 
Gal Mayer, MD, Callen Lorde Community Health Center, New York City, NY, USA. 
Ruben Hopwood, MDiv, Fenway Health, Boston, MA, USA. 
Madeline Deutsch, MD, L.A. Gay & Lesbian Center, Los Angeles, CA, USA. 
Thomas Wormgoor, MA, JD, Transvisie, Schorer Foundation, Amsterdam, The Netherlands. 
Bev Lepischak, MSW, Sherbourne Health Center, Toronto, Ontario, Canada. 

●フェンウェイでの取り組みの報告 
・利用者:18か月で582人。(MtFが286人、FtM296人) 
・トランス向け自殺予防冊子 (fenwayhealth.org/ からダウンロード可能) 
●ロサンゼルスでの取り組みの報告 
・GLセンターは世界最大のGL組織。 
HIVの予防啓発の資金が政府からおりていて活動している。 
・2年間で680人の患者を診た。40%が保険なし。収入に応じた治療スケールにのっとって治療。 
アムステルダムでの取り組みの報告 
・親、こども療法のメンタルヘルスに取り組む。 
・医療は保険でカバーできる。 
・自殺率の高さの問題はある。 
ジェンダークリニックと密なやり取りをして包括的サポートを心がけている。 
トロントでの取り組みの報告。 
・移民、ホームレス、LGBTを対象にした病院。 
・2002年にアウトリーチをはじめてホルモンコンサルテーションプロトコルをまとめて2003年に実施。600人ぐらいのトランスの主治病院となって機能している。登録しているのは600人だけど、1000人ぐらいはこのリソースを利用してるだろう。 
・包括的サポートの紹介としては、当事者が集まるサポートグループの他に、ジェンダージャーニーと言って年に三回ぐらい、性別移行とはどういうことか理解してもらうための教育的プログラムを行っている。受講することによってトランジションの準備をしてもらう。トランスフュージョンというのはトランスのユースが20人ぐらいあつまるピアサポート。トランスパートナーネットワークは家族として生活するためのサポートに特化した取り組み。FtMで妊娠したい人のための講座。(おそらく世界初)LGというアイデンティティを持つわけではないクィアの人で親になりたい人のためのワークショップ。トランス女性のための集団健康診断。トランス男性のための子宮頸がん検査。イベント、冊子発刊、キャンペーンなど。 
・トランスの社会上、健康上の切実なニーズの調査や、トランスの親学などの研究活動もしている。 

質疑1、自分たちの取り組みの特徴について 
ロス:貧困もそうだが、貧困でなくてもいろんなサービスにアクセスできないのが問題だと思う。また文化や言語の問題もあって、精神療法という概念がない国から来ている人にどう使ってもらうか、どう説明するかという問題がある。 

質疑2、サービスから漏れていることについて 
トロント:対象は移民、ホームレス、LGBTだが、どのプログラムを選択しても大丈夫なようにしている。ホームレスでゲイとかもあるので。 
アムステルダム:質問にはあてはまらない。望めばだれでもどんなサービスでも保険適用されて使えるから。問題は診断前の人をどうサポートできるか。 
ニューヨーク:HIV系の予算があるので細部にわたるように予算を落として行っている。問題はトランスの固有性としては、どんな人よりもサービスにたどり着く道のりが遠いということ。また、来た時点でどの段階なのか、ホルモン何年目なのか、とか、ちゃんと見極める必要がある。見極めることによってサービスの組み合わせを考えて提供する必要がある。 
マサチューセッツ:保険なし。医療サービスを受けられない人が多い。近隣の州からバスでくるひとがいて、地元でできるようならないか検討すべき。 

質疑3、包括的ケアはどういう場合、どんな問題があるか。 
ロス:メンタルヘルスの充実をはかりたいが、インターンして資格を得るための機会が専門家に足りてない。サービスがない州、地域にどうやって届けるかが課題。また、ここから紹介した先の病院で、名前や扱いなどトランスにちゃんと配慮しているかどうか気になるししてほしい。FtMの産婦に対して、すごくよくしてくれる病院があるが、そのFtMの出産が終わるとそのサービスがよい状態が途切れてしまうのが問題。 
トロント:ナビゲーターになる人がいて包括的に取り組めるように工夫してる。待ちリストがすごいことになっていて、オペの許可が出てもなかなか順番がまわってこない状態なのが問題。ボトルネック現象。海外でオペしてきた人の予後を見てくれる病院がない。専門家に学ぼうという人が少ない。海外のやったところに行けと言われるが現実的でない。

質疑4、コミュニティで仕事をすることのむずかしさって? 
・地域社会に絡むからいろんな注意が必要。職場内での細かい連絡やり取りが重要となる。なんでもすぐ言える環境が大事。たくさんコミュニティセンターがあるから、同じサービスを提供しないようにお互いに調べてそれぞれが固有のものを提供できるようにする。新しいプログラムなどコミュニティのニーズに沿って作るようにしている。