LGBTQ洋書読書会とか

新設Cチーム企画主催者が、元々は「リバティおおさかを応援する!」というブログでやってましたが、引っ越ししまして、最近ではLGBTQの洋書読書会やその他の情報をごった煮状態で掲載していますv

アトランタ (WPATH)4日目セッションメモ(2011/9/26)

●ユース系セッション 

Factors contributing to identity development of contemporary transgender adolescents: Results of a qualitative analysis. 
Linda Aline Hawkins, EdD. 
1、 
臨床心理士として1990年からトランスとジェンダーバリアントについて研究している。FtM系に28人にインタビュー調査。何が自分のアイデンティティを持つのに影響したか、社会的、身体的、心理的に聞いた。言語、地域、ネット、ゲームなどの影響も見られた。 
若者のカムアウトの仕方がグローバルになっており、それは多様なトランスの大人を知っておりロールモデルがあるかだらと思われる。 

The resilience strategies of transgender youth: A qualitative inquiry. 
Anneliese Amanda Singh,PhD, Sarah Meng, BA. 
2、 
トランスのユースにストレスコーピング力をつけることの手助けができるか。できるとしたらその結果を親や先生に提供し生徒のサポートに活用してほしい。否定的な体験をアイデンティティとどうすり合わせてうまく生きて行けるか。18人にインタビュー。 
語り「母が「あなたは何も変わることはない、ただもっと自分らしくなっていけるんだよ」って言ってくれた。」 
トランスの子どもたちがストレスに負けずに生活していけるために必要なことは、 
・サポーティブな機関や教育に出会えること。 
・トランスに肯定的な態度のコミュニティに接触すること。 
メンタルヘルスの問題を再枠組み化できるようになること。うつや躁鬱、アスペルガーなどを持っている場合、それをトランスと切り離して、あるいは結びつけて、改めてとらえなおせるようになることが大変大事。(小耳にはさんだ情報では、いまやトランス単体での研究はすくなくて、トランスと学習障害、トランスとアスペルガーなどセットで研究報告されることがほとんどだとか@カナダ。確かにトランスは単にトランスだけじゃない人が多いのは経験上実感する。) 
・家族、友人の関係性のナビゲーションがあること。 
・アダルティズムの経験。大人性?誰かのために我慢しなくてもいいということ、自分で決めていけるということ。らしい。(このアダルティズムについてどう日本語訳するかという話に後でなって、難しいよねーと。♪大人の階段のぼる、君はまだシンデレラさっ♪といちいち言うか、みたいな。) 
・健康に関する情報にアクセスできること。 

一方、トランスの子どもたちにとっての脅威は、 
・情緒的、社会的孤立。 
・就職差別。 
・財源へのアクセス。(オペのためにセックスワークをしたりするが、そのことを親が受け入れられないなど。) 

この調査報告の反省。差別への抵抗について言いたいのではなくて、解放心理的な、しばりからどうやって解放されていくかに、本当は焦点を当てて調査できたらよかった。また、トランスユースのことをわかろうとしない方が良い。尊敬を高め、尊重を持って接することが大事なのではないか。 

質疑での話。戻ってくる場所を用意しておくことはとても支援となる。トランスは生涯付き合わないといけない問題というのもあるが、若者として生きることはトランスでなくても大変なことで、例えば大人じゃないから情報が少なかったり、できないことがあったりするので若者特有の大変というのがある。 

Perspectives on gender-variant youth: A qualitative investigation of experts’ opinions and 
treatment approaches in fi ve di_ erent countries. 
Timo O. Nieder, MSc, Christina Handfort, BA,Hons, Herbert Schreier, MD, Hertha Richter-Appelt, PhD, Birgit Möller, PhD 

各国のトランスジェンダーを診ている精神科医臨床心理士を対象にした聞き取り調査の報告だったけど、研究方法、目的がだめだめだったらしく、かなり質疑で叩かれまくっていたようす。確かに聞いていて、だからなんなん?という感じもした。ので割愛します。

Gender, safety and schools: Taking the road less traveled. 
Joel Baum, MS. 

ジェンダーを包括する学校に。自分探しの旅に出よう。(自分らしいままで世界を変えていこう、みたいなかっこいいタイトルがプレゼンの表紙についていたようす。) 
この団体は、映画祭の時に3本ぐらい映画を流していた団体。学校機関に教育支援をしに研修や家族会議、先生の指導など、介入していっているらしい。ジェンダーセンシティブな学校にしていくための取り組みをしている。 
学校支援では手順がとても大事である。介入によって先生たちの手探りの努力を全否定してはいけないし、すぐに先生たちの態度がよくなるわけでもないので、時間をかけて先生たちと共に取り組んでいく必要がある。また、支援は一回だけで終わるのではなく、常に連絡をとりつつ手を入れていかねばならない。そのメンテの仕方も先生方に知っておいてもらう。 
トランス当人や家族に頼まれて学校に介入することもあるが、その時その人たちのためだけに介入するのはよくなくて、学校全体をよくしていくために取り組む姿勢が大事。学校に入っていく際に重要な要員は、リーダーシップ、スタッフ、親、ケアスタッフ、コミュニティ、生徒。また、注意事項は、 
・もしもではなく現実的に全体を見渡せること、 
・法的な知識があること、 
・スーパーバイザーがいること、 
・状況とトランスの生徒から聞き取ること、 
・トランス当人、その家族が一般的な知識を持っていること、 
・トランス当人、その家族が研修の目的を認識していること、 
・家族は授業や研修の内容も知っておくこと、 
・家族は授業後に子どもとちゃんと話をすること、 

3年前に小学校で研修をした際のことをまとめたビデオを上映。先生の語り「MtFの生徒に出会ってとても驚いた。どんなとんでもない家族なんだろうと思って会ったら、とってもいい家族で、変わらないといけないのは自分だと思った。」などなど。 

こちらがこの団体「ジェンダースペクトラム」のサイト!先生や親が研修してよかった、みたいな声をまとめた映像を流していたので取り寄せて字幕つけて教員研修とかで流せたらいいなーとか思っています。 

http://www.genderspectrum.org/ 

トランスジェンダーの子どもたちについての冊子も出してる 
http://www.genderspectrum.org/store