LGBTQ洋書読書会とか

新設Cチーム企画主催者が、元々は「リバティおおさかを応援する!」というブログでやってましたが、引っ越ししまして、最近ではLGBTQの洋書読書会やその他の情報をごった煮状態で掲載していますv

Providing Services to LGBTQI Victims

Sexual Assault Advocacy &Crisis Line Training Guide

A Crisis Intervention Resource for Sexual Assault Service Providers in Colorado

Colorado Coalition Against Sexual Assault 発行(4th Edition, 2011)

http://www.ccasa.org/wp-content/uploads/2014/01/sexual-assault-advocacy-and-crisis-line-training-guide.pdf

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Providing Services to LGBTQI Victims 29-35 (P234-237)の部分だけを訳しています。

 

【LGBTQI被害者への対応】
これまでこのマニュアルで話してきた通り、性的虐待は人種、民族、階級、年齢、ジェンダー、性的自認、性的指向に関わらず誰にでも起こり得る。知人から性的虐待に合う危険性はLGBTQIコミュニティと異性愛者とはおよそ同じ確率である一方、同性愛嫌悪、バイ嫌悪、トランス嫌悪はLGBTQIの人々を性的暴力も含めて、暴力の被害者になる危険性を大いに高めている。
加害者が被害者をある特定のグループに実際に属しているか、属している加害者が見なし、標的にした時、ヘイトクライムが起こる。加害者は“罰する”目的で性的暴力を使うかもしれないし、その人の性的指向や性的自認/表現を屈辱するかもしれない。
トランスジェンダーの人々は、性別規範に沿わないことや性的指向を憶測されることによって、よく嫌悪暴力の標的となる。トランスジェンダーの人々に対するヘイトクライムは特に暴力的な傾向がある。例えば、専門家はアメリカのトランスジェンダーは、普通の人が18000人に1人の確率で殺人に合うのに対し、12人に1人の確率だと見積もっている。
2008年の報告によるとアメリカ中西部、西海岸ではかなりLGBTへのヘイトクライムが増加しているとのことだ。

 

【LGBTQI被害者がサービスを求める際の障害】
・全てのサバイバーと同様に、LGBTQIと自認するサバイバーも被害の後に恐れ、自責の念、怒り、恥、ショックなどを感じている。
・抑圧と偏見のため、異性から暴行を受けた被害者よりも、同性から暴行された被害者の方が、警察に被害を報告しなかったり、支援サービスを探し求めない傾向にあるかもしれない。
・サバイバーは、刑事司法制度や医療機関、その他の支援サービスで、対応者からの無神経さや同性愛嫌悪、バイ嫌悪、トランス嫌悪に晒されるのを恐れているかもしれない。
・LGBTQIのサバイバーは、支援を求めた先に対して、LGBTQIのサバイバー特有の問題について教育しなければならないことがよくある。
・孤立を感じることは特にトラウマ的だ。なぜならLGBTQIの被害者は既に異性愛中心社会で孤立を感じているし、さらにLGBTQIのコミュニティのメンバーから孤立することを恐れているからだ。
・家族や警察、その他の支援者に助けを求める際、アウティング(勝手に性指向や性自認について話されたり暴露されたりすること。)されることを恐れているかもしれない。カムアウトする準備ができていない人たちにとって、これはに雇用、住居、教育、移民、経済的安全性、個人的安全性、プライバシー、個人的人間関係に関係した複合的な複雑さを招く要因となり得る。
・また、支援者によって被害者の経験をセンセーショナルに取り上げられたり、LGBTQIであることを不必要に重要視されたりすることが更なる障害となる。

 

【Q&A】
Q.LGBTQIの人たちはより性的暴行を行う可能性が高い?
A.ほとんどの性暴力の加害者はLGBTQIであるという有害な神話は、同性愛嫌悪に根差している。性的暴行の加害者の圧倒的大多数は、異性愛者の男性だ。性虐待の犯罪者についての画期的研究は、異性愛者の大人は同性愛の大人よりも子供にとって脅威であることを結論付けた。

Q.人々はLGBTQIと自認するのか?
A.LGBTQIは包括的な言葉で、個人を示す言葉としては使われない。例えば、主に女性と恋愛関係を持つ女性は自分のことをレズビアンクィアと自称するだろう。ほとんどの場合LGBTQIとは自称することはなく、むしろLGBTQIコミュニティに属していると認識しているだろう。各個人が異なる自己認識を持っているので、人々が勝手に彼らに合うあるいは合わないかもしれないラベルを貼る前に、彼らがどう自認するかを知らせる機会を持つことは重要だ。

Q.クィア(変態)という言葉を使うのは適切か?
A.クィアという言葉は多くの若者や大人から、恥や烙印を伴わない意味に再定義されて使われてきている。しかし、LGBTQIの中には無礼に感じる人たちもいる。どのようなサバイバーと接する場合も、彼らが自分たちを示して使う言葉を使うようにしよう。常に慎重に期すべきで、確信がない場合は使わないようにしよう。その言葉をいい意味で使ったとしても、聞き手がその文脈に馴染みがない場合、侮蔑語として捉えてしまうかもしれない。もしその言葉を使いたい場合は、きちんと使い方と文脈を説明する時間をとる方がよい。

Q.サバイバーの性的自認がわからない場合、どう対応したらいいか?
A.電話対応の支援者や病院への対応者にとって一番実用的なことは、性別ニュートラルな人称を使うことだ。また、本人が自称するまで、サバイバーまたは加害者の性的自認を憶測しないようにすることだ。誰が電話をかけて来たとしても、常に利用者が使う言葉と人称に合わせて使うようにすることだ。サバイバーの性自認を勝手に憶測してはいけない。また、サバイバーの性的指向から性自認を憶測することも間違っているので気を付けよう。性的指向性自認とこれらの問題とは別物だ。

その人の性自認は、その人本人が自分をどう見ていてどう自認しているか、どうジェンダーを他人に扱われたいかだ。サバイバーの性自認は生まれた時のものと同じかもしれないし、違うかもしれない。その人が感情的に、性的にまた恋愛的に惹かれる対象を示す性的指向性自認は関係はない。同性かもしれないし、異性かもしれないし、全てのジェンダーかもしれない。またこれは人生を通じて流動的だったり変化することもある。例えば、女性として生まれた人が男性の性自認を持っていて、男性に惹かれるとしたら、ゲイのトランス男性である。

Q.どうやってサバイバーの性自認と性指向についてたずねたらいいのか?
A.サバイバーに対応している時、自分が知りたいことと、自分が擁護者として知る必要があることと、分けておくことが大事だ。彼らの性自認と性指向を知ることは、彼らが受ける支援内容に関係ないかもしれない。どの三人称を使いたいかを聞くことは、擁護者として彼らの利益になるようにあなたが知る必要があることだが、性別再適合手術を受けているかについてはほとんどの場合、聞く必要はないだろう。もし弁護のために必要性があるならば、なぜそれを聞く必要があるか、どのようにその情報が使われるか、誰がそれを知ることになるか、なぜその情報が彼らとともに活動するのに重要になのかをきちんと説明しよう。彼らには、活動を共にするあなたとの関係に影響を与えることなしに、質問に答えない選択肢がいつもあることも確認されるべきだ。

個人間で、組織の中で、文化のレベルでも、トランスジェンダーコミュニティは本当に暴力に直面することが多い。下記の大度はフォージ・フォワードによって開発された。トランスジェンダーの個人の権利と生活のための支援、教育、啓発を使命とした革新的な組織だ。下記の“今すぐ使えるコツ”を読んでみよう。どのようにあなたの組織は、支援サービスを使いにくくしている障害を取り除くことができるだろうか。

 

【トランスの人たちを含んだ支援サービスにするためのポイント】
このガイドはForgeによって作られ、掲載許可を得ている。詳しくは下記サイトへ。
www.forge-forward.org for more information.

1、 言葉
利用者の希望する名前と人称を使うこと。彼らがいないところでも一貫して使おう。もし確信がない場合は本人に聞いて確かめる。もし利用者の性別化された身体部位について話し合う必要がある場合、彼らが使っている言葉をそのまま使うようにする。(例えば、胸ではなく胸部と言うとか。)

2、マナー
あなたが同僚と自分の性器について話をしないならば、おそらく利用者に対してそれを聞くことは適切ではない。その人の性器は彼らの社会的性別、支援分野、法的地位を決定するものではない。保護と支援のためにその情報を他者と共有することが本当に必要な場合でない限り、誰かがトランスジェンダーであることを話さないようにしよう。

3、焦点を当てる
利用者がどんな支援を必要としているかに焦点を当てよう。ほとんどの場合、トランスジェンダーの人が探している支援は、性自認に関係ない。トランスジェンダーの利用者は、あなたや同僚の教育的機会のために利用されるべきではない。

4、規則
あなたの働く機関が明文化した方針として、性指向や性自認に基いた差別を禁止していることを確認しよう。全てのスタッフがそれについて知っており、方針に従っていることを確かめよう。

5、立ち向かう
利用者が行き来する他の機関も含め「安全空間」施策があり、実施していることを確認しよう。全てのスタッフ、全ての利用者、誰であろうと偏見のある行動や発言は許されない。

6、書類関係
インテークのフォームやその他の書類で、性別記載の部分に利用者が書き加えることができるスペースを設けよう。またはトランスジェンダーの選択肢を付け加えよう。質問項目において、性的指向(どういう性別の人に惹かれるか)と性的自認(本人が自覚する性別)が適切に分けられていることを確認しよう。

7、知ること、伝えること
もし利用者に個人的または慎重になるべき質問をする必要がある場合、たずねる前になぜそれを聞く必要があるかを伝えるようにしよう。あなた自身がその情報がなぜ必要なのかを知らない場合は、支援のために適切でないし聞くべきではない可能性が高い。

8、力づける
利用者の中には、支援者が指導権を握ることを求めている人もいるが、多くの場合、利用者は自分が受けるケアや支援の方向性を自分で決めることを望んでいたり、またその能力を有している。もしその人に適切であれば、支援の提供の方法やアプローチについてトランスジェンダーの利用者があなたにどう扱ってもらいたいかを尋ねてみよう。

9、創造的になる
トランスジェンダーの人々は既存のシステムやフォームに当てはまらないかもしれない。あらかじめ決められたことや、合わないものを彼らに強要するのではなく、彼らのニーズに合うようにフォームやシステムの方を変更することで彼らを尊重しよう。

10、啓蒙する
いつであろうと可能な時に、どんな性自認の利用者にも合うように、システム、指針、フォームの変更を呼びかけよう。あなたの組織や分野でこうしたシステムの改善を呼びかけることが難しいようなら、トランスジェンダーの組織や催しでボランティアをすることも考えてみよう。