LGBTQ洋書読書会とか

元々は「リバティおおさかを応援する!」というブログでしたが、引っ越ししまして、最近ではLGBTQの洋書読書会やその他の情報を掲載しています。

WS報告「トランスコミュニティでのPrEP(HIV暴露前予防投薬)の取り組み」

「トランスコミュニティでのPrEP(HIV暴露前予防投薬)の取り組み」
Engaging the Trans Community in Care/ PrEP
1/21(土)10:45-12:15
【プログラムから概要】
この分科会はトランスコミュニティの健康問題に焦点を置いた相互作用的議論です。参加者はどのようにもっと包括的な言葉を使うか、どのように全ての性自認の人たちに総合的な健康サービスを提供するか、特にHIV陽性者のプログラムについて学ぶでしょう。この分科会はトランスを含んだヘルスケア、問題行動への医療サービス、HIVケアと予防のプログラムの内容にも及びます。
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この団体は保健所のような機関でLGBTQに特化したサービスを提供しているNPO的健康センターだそう@フロリダ州。LGBTQ医療に特化しているところはアメリカでもまだ多くないようだ。(トロントにはシャーボーン・ヘルスセンターと言う、LGBTQと移民とホームレスに特化した所がある。)働いている人もLGBTQ当事者で専門職の人もいて、発表者の人はFtMの白人のイケメンだった。
パレードやイベントなどがあると、ヘルスバスという出張診療のバスを出し、HIVテストなどを提供している。トランス当事者に関係する医療、カウンセリング、ホルモン投与、手術への手続き、一般医療、HIV/STIテスト、感染予防、ハームリダクションなどに加えて、社会的なサポートたとえば身分証明書の性別変更、就労相談なども行っているらしい。手広い!サイトをみたら当事者グループも会合をしているらしく、本当に総合的な取り組みをしているのがわかる。
最近ではトランスのみならず、Non-binary(男女どちらでもあったり、どちらでもなかったりする人)の人たちの居場所の確保に取り組んでいるそうだ。また、トランスで子育て中の人の会、トランスの子を持つ親の会なども定期開催している。集まりの宣伝にはFacebookを使ったり、お知らせメールを事前に送るようにしたり、人が集まりやすいように工夫している。
LGBTQに特化した医療サービスがあるのは良いことだが、LGBTQであってもなくても、普通に普通の医療がどこでも受けられるべきだ、と発表者は言っていた。Cisの人たち(生まれた時の性別のままで問題ない人たち)をいかに教育し、トランスやNon-binaryの人たちにとって安全な場所を確保していくかが大事とのこと。
最初は6人ぐらいしか参加者がいなかったが、徐々に増えて最終的には10人ぐらいになったと思う。トランスへの保険サービスでPrEPを導入した取り組みについて知りたかったので参加したが、正直失敗だった。発表者が興奮していたのか、早口すぎてほとんど聞き取れなかった。途中で見切って別の分科会に行くべきだったが、PrEPの取り組みについて聞いてからと待っていたらかなり後半でしかもスライド一枚だけの説明…。トランスの利用者に説明して医者から処方箋もらって開始し(保険適用になる)、三か月毎にHIV/STIテストしてまた処方してもらうというだけ。一般的な説明と同じ。。。(3か月分で14ドル程度だとか?)特にトランスコミュニティだからということでしていることはなさそうだった。タイトルになってるから期待したじゃん。。。(あるいは私が聞き取れてないだけ。)
参加者はトランス当事者で医療従事者だったり、健康サービス提供者だったり、仕事にしている人たちだったようで質疑応答も「どうしたら医療につながりにくいトランス当事者にサービスを届けられるか、出てきてもらうにはどんな工夫をしているか」など具体的なものだった。

話しはずれるけど、去年トランスの集まりに自宅でできるPap testキット(子宮頸癌を発見するために使われる細胞診検査)を開発している会社の人が来てフォーカスグループ(当事者を集めて聞き取り調査みたいなので、たいがいお礼にギフトカードや商品券などがもらえる!)をしていた。トランス男性にも使ってもらえるように、包括的な商品にしたいので当事者の正直な意見を聞きたいということだった。さすがトロントは会社のスタンスも違うね!参加していたトランス男性たちは、ナプキンなどいつもデザインが女性的すぎて手に取れないとか、あの恥ずかしい椅子に座り股を開いて検査を受けるのは嫌だが、医療者のサポートはほしいので、キットを病院のトイレで自分で使ってその場で医者に提出したい、などいろいろな意見がでてました。写真はテストキットで非常に女性っぽいデザイン。。。

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それとは別に、去年Pap testを無料で行っているWomen's College Hospital(トロント)に検査に行ったことがあるんだが、受付で「男性のPap testはやってません」と言われたけどトランス男性ですと説明すると普通に予約することができた。当日、ホルモン5年目だが稀にわずかに出血することがあると言うと、念のため超音波検査しておきましょうと言われ、妊婦が赤ちゃん見る時に使うやつで診てもらった。別の日、結果結果を聞きにいくと極小のコブみたいなのがあるけど悪性ではないので、定期的に検査して大きくなったりしないかチェックしましょう、ということだった。Pap testは無料だったんだけど、超音波はお金がかかり大学の保険でもカバーされれず、85ドル支払った。ちなみに、結果を知らせてくれた医師はたまたま日本人系の先生で日本語で説明してもらえてよかった。(日本語がちょっと違ったのでカナダ生まれの二世かな。)もちろんトランスについても理解していたので、色々トランスジェンダーという存在について説明する必要がなく、話が通じやすくて安心だった!にしても、さすがにロビーに虹旗が飾ってあるだけあって、全ての検査・結果報告の過程でトランスであることで不安になったり気を使ったりせず安心にサービスが受けられてすごくよかった。
写真はWomen's College Hospitalのロビーに飾ってあったLGBTQへのメッセージ。(2016年6月のプライドパレード用。6月は町のいたるところでLGBTQパレードに関連したアクションが見られる。そのひとつ。)

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トランスというだけで特別視されて、医療から排除される現実が徐々に変わっていくといいなー。でもトランス特有の社会的な困難が減らない限り難しいね。それが実現するまでのつなぎとしてこうした機関が活躍するということだろう。トランスへの差別や社会的な孤立が続くほど、問題の専門性は高まり、専門機関の必要性も高まる。社会的が包括的になりトランスが暮らしやすくなるということは、性別での差別や区分が必要最低限になるということ。医療や福祉のシステムでも特別扱いされずに済み、性別に関わらずサービスを提供し、受けられるということ。トランスについての専門性は残るとしても、医療従事者やサービス提供者にとってのトランスの人についての敷居は低く感じられるようになるだろう。


■主催者団体 Metro Wellness & Community Centers