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LGBTQ洋書読書会とか

元々は「リバティおおさかを応援する!」というブログでしたが、引っ越ししまして、最近ではLGBTQの洋書読書会やその他の情報を掲載しています。

WS報告「セックスワーカーの分科会」

セックスワーカーの分科会」
1/20(金)6:30-7:30
【プログラムから概要】
この分科会は、現在セックスに関連する仕事に従事している人たちのみが参加できます。セックスに関連する仕事とは、売春、エスコート(有料で客と一緒に時間を過ごす人)、キャムモデル(Webcam model=テレクラのPC版)、アダルトビデオ、ストリップ、シュガーベイビー(パトロンを持つこと)、その他のエロティックな仕事をひっくるめます。セックスを対価にお金、薬物または住まいを取引している人なら、それがちんこやまんこやおしりでのセックスに関わらず、ようこそおいでください!他の似たような(あるいは異なった)経験や健康法などについて話したり、全米の地元主導の団体について学びましょう。これはネットワーキングの良い機械となることでしょう。
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15人ぐらいの小さな分科会で、様々な情報交換がされた。マンゴーやスナックが差し入れられてて美味しく頂いた。参加者は性別も見た目も人種も年齢もいろいろな人たちだった。
最初に上がった話題は、この大会の参加費が高すぎること。1日参加だと、135ドル(15000円ぐらい)、5日通しだと一般が445ドル(47000円)、学生料金は半額、経済的に困っている場合は200ドル、みたいな感じだったと思う。コミュニティの声を吸い上げて全体のムーブメントにしていくのなら、誰でも参加できるように無料にするべき!という意見が出ていた。特に、有色人種のトランス女性などは経済的な弱者で、声を届けにくい。中には自分では負担できないので、大学に申請して参加費を払ってくれたという人もいた。(大学優しい!)そしてなんと、分科会を持つにもお金を払わないといけないらしい!分科会してもらうのに大会がお金払うってんならわかるけど、逆かい。じゃあお金持ってるところしか分科会開けないってなったら、貧乏団体来れないし声も出せない。うーん。(私はもちろん無職なので200ドルにさせて頂きました。18イベントに参加したので1つ1000円ちょっとと考えると妥当かと。4日間無料飯を食べまくったし、個人的には元取ったと思ってます。)これについては、分科会として高い主催者に要望書を提出しているとのこと。このコーカス(当事者向け分科会のこと)とは別に、セックスワーク関連の分科会が2つしかないのに、それが同じ時間帯に組まれて関係者がどちらかにしか参加できないなど、大会側の配慮のなさについても言及されている。

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次にあがったのは、安全対策について。さすが、今の時代便利なアプリが出ているそうで、知らない人からの電話があった時に、それがスキャムかどうかお知らせしてくれるんですと。知らない番号に出てみると録音の音声が流れてることがあるんだけど、それは企業がやっている電話調査。またスパムのテキストが送られてくることもしばしば。こういうのを無視/ブロックするのに下記のアプリ、ミスター・ナンバーというのが便利だそう。また、バリファイ・ヒムというアプリは、オンラインデートを利用する女性向けに作られているそうで、ブラックリストに載っている人からの電話を自動的に拒否したり、危険人物のデータがいろんなルートから日々アップデートされて反映されるらしい。あと、なんて名前のアプリか忘れてしまったんだけど、一定時間内にリアクションをしない場合、登録した連絡先に連絡が行くというもの。仕事中に事件などに巻き込まれた場合、緊急連絡先に指定した友達に自動的に連絡が届き、助けを呼べる。こうしたちょっとしたことだけでも、ひとりで働いている人には心強いことだ。
■Mr. Number: Call Block & Reverse Lookup
■VerifyHim App

インコール(自分の所に客を呼ぶ)かアウトコール(客の所かホテルなどに自分が行く)かという話では、ラテン系のトランス女性のセックスワーカーたちの支援をしている人が、トランス女性の場合、見た目は男性でシンプルな女装のみする人から、手術も済ませた見た目完全な女性までいろいろだけど、いったんトランスを始めたら外に行くのは危険が伴うことが多いので、インコールを好む人が多いと言っていた。また、サポートの面では、経済的に不安定なため、客を探してあちこちと都市をめぐる人もいるそうで、そうした人への継続的なサポートが難しいとのこと。他の人からは、インコールをする場合は、自分の本名が特定できる情報、郵便物などは部屋に置かず、自分の住まいではないかのように振る舞う(家で待ってるけど、少し遅れるかもとか言う。)というような安全策を敷いているそうだ。また、クライエントのホテルに行く場合は、説明なしに複数の人が部屋に潜伏している危険性を回避するため、部屋で会わずロビーで会うとか、チェックインを目の前でしてもらうなど工夫しているらしい。なるほど。

スコートなどをしている多くの人は、主な宣伝はネットとなるのでどのサイトが良いか、どんなサイトを利用しているか、という情報交換もしていた。つい最近、アメリカでも有名なBackPageというサイトがエスコートのカテゴリーを閉鎖したらしく、困ったねー、次に使える場所はどこかねーという話もしていた。無料で広告を出せるサイトもあるが、やはり有料のところの方がたくさんの人に見てもらえる。最近ではその広告の支払い方法などが変わってきているようで、Bitcoinなどインターネット通貨が使用されている。ネットの通貨はそれを取り扱うためのアプリが必要だし、その通貨を一般社会の通貨で買って換金する作業も必要だ。Bitcoinはクレジットカードからも買えるが、町中にBitcoin用のATMがあり、その機械に現金を入れて出てきたバーコードを、ケータイのアプリで読み取り、お金を転送することもできる。使用する通貨も支払いの選択肢も増えてきているらしい。サービスに対する支払いの受け取りももう現金でやりとりするのはやめたという人もいた!例えば、会員制のところに登録して働いている場合、お金は事前にネットを通じて支払われ、それが本人のところに振り込まれる。あるいは、アマゾンのギフトカードを使うと、ネット上でやり取りできる上にお互いに匿名性を守れるため便利らしい。へー。

日本でトランスジェンダーピアサポートの場に15年近く居たが、セックスワーカーの友達は少しだけしか知らない。私が会に入ったころ、代表の人がセックスワーカーで、フェミニズムやゲイリブ、トランスジェンダーのこと、本当に色々なことを教えてくれた。いろいろと知る中で、セックスワークについてのイメージが完全に変わった。でもその数年後、その人は亡くなってしまった。今でもあの人ならどう考えるかなあと、思い出したりする。大事な恩師なのは変わらない。
セックスワークで食べていってる職業人とまでは言わないけど、でもちょっとやってる程度の人ならたぶんけっこういただろうに、会でセックスワークの話しにほとんどならなかった。「お水」の人たちはまあまあいた。お水以上の話しにならない。言えない雰囲気があったのかもしれない。昼間のサポートグループに来れる人は限られるのかもしれない。そういう層が来てなかったのかもしれない。そもそもトランスであることで、セックスについて語りにくいのかもしれない。この大会ではトランスでセックスポジティブになるための分科会が2、3あった。次回はどれかに参加したい。

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(写真はフィラデルフィアの市役所。会場からすぐ近く。トランスジェンダーの旗が星条旗といっしょに上がっていた。この大会をしているかららしい。すごい!その他にもレインボーフラッグが飾ってある建物もいくつか。)

 

以前にも書いたかもしれないが、トロントでLGBTQコミュニティに参加していると、ボーダーレスを感じる。日本ではきっちりした分類があったように思う。LGBTQの会に行けば、LGBTQの人だけ、障害者の会に行けば、障害者だけみたいな。こちらでは、LGBTQの会に行ってもそこには、障害者も外国人も若者も老人も派手な人も地味な人もごちゃ混ぜに存在している。LGBTQの会だからと言って、LGBTQの健常者で国籍のある人の話しだけしているわけにいかないのだ。いつも問題は重複していて、交差している。だからLGBTQの会と言ってもいろんな話がでてくるし、それに対応しないといけない。それは、障害者の会に行っても同じで、障害者のLGBTQがいるので、障害者の会ではそうした人に配慮せざるを得ない。もちろん数の関係で息苦しく感じる時もあるだろうが、存在は認められている。そのままの自分で存在できる。
日本でもきっといろんな人がいたのに、気が付かなかっただけだろう。マイノリティのグループでも同質性を求められるため、グループはワンイシューにな りがちだ。ダブルマイノリティであることが言いにくい。LGBTQの会に行くと、みんな周囲に合わせて、自分の中のLGBTQな側面だけを出して交流する。空気を読む。そのままの複雑な自分のまま、そこに存在してもいいと思いにくい。日本では障害者の会で、あるいは在日外国人の会で、LGBTQの人がカムアウトするのは難しそう。LGBTQの会でセックスワーカーがカムアウトするのも難しそうだ。マイノリティ団体同士の横のつながりを作るのはもちろん重要だが、すでに形成されている会の中での多様性をどうやって掘り出して、許容、包括していくかも、取り組める部分だと思う。

例えば、車いすのLGBTQがLGBTQの会に参加するようになれば、何かイベントを催す時に、車いすの人が支障なく参加できる会場を選ぶように実務として変化が起きるだろうし、会の後でお茶に行くのに、どこのカフェや居酒屋が車いすが入れるか、日頃からチェックするようになるなど、思考さえも変わる。同じように、ろうのLGBTQがLGBTQの会に参加するようになれば、おのずと手話を知りたいと思う人も増え、イベントをする時に手話通訳をつけることが当たり前になるかもしれない。それによって、もっとろうのLGBTQが参加しやすくなり、もしかすると、手話がつくイベントならと、ろうのアライも参加してくれるかもしれない。
そもそもは、その会が誰にでも開かれているとアピールするところから始まるが、ちゃんと参加するには手話通訳が必要だと堂々と主張できるろう者の存在が欠かせない。アクセシビリティは人権だと思っていなければ主張できない。主張を受けて、どんな会場設定(立地や建物の構造だけでなく、椅子や机の並び)にするか、予算を組むか、会のシステムが実務的に変わっていく。入口がフラットないいカフェを見つけたから知らせようとか、あの人と交流したいし手話予習しておこうとか、手話わからんけどメモ帳とペン持ってたら便利かもとか、人の思考も現実的対応のため変わっていく。そうした細かいことがコミュニティの形を変えて行くとことだ思う。

具体的にこちらでよく見かける配慮は、
●食事を出す場合、
ベジタリアン・ビーガンオプションを用意する
事前にどんなアレルギーを持っているか聞く
アレルギーがある人のために材料を全て表記する
●広報時にできること、
車いすがアクセスできる会場かどうかの情報
車いすがアクセスできるトイレがあるかどうかの情報
ジェンダーフリートイレがあるかどうかの情報
ASLの通訳がつくかどうかの情報
セントフリー(香水など匂いのあるものはつけてこないように)
●会場で
自己紹介で名前と使いたい第三人称を言う
ハグやパーソナルスペースの確認(ハグ文化だけど、したくない人がいるというお知らせ)
●主催者として
会場が先住民族の土地であったことを共通認識として確認し、敬意を示すこと

 

要求・主張できるように包括的な場にすること、要求すること、それを受けて実行すること、を同時進行して具体的な変化が生まれ、一旦形式ができればその場に応じた変更を加えて引き継いでいけるはずだ。